妊娠中の女性は、胎児の成長と自身の健康維持のために、通常よりも多くの鉄分を必要とします。鉄分は血液中のヘモグロビンの主要成分であり、酸素を全身に運ぶ役割を果たします。妊娠中は血液量が増加し、胎児への酸素供給が重要となるため、鉄分の適切な摂取が不可欠です。
妊娠中の鉄分必要量
妊娠中期から後期にかけて、女性は通常の約2倍の鉄分を必要とします。これは、胎児の成長と母体の血液量増加に伴うものです。具体的な推奨摂取量は以下の通りです:- 妊娠初期:通常の推奨量に+2.5mg
- 妊娠中期・後期:通常の推奨量に+15mg
鉄分不足のリスク
鉄分が不足すると、以下のような症状が現れる可能性があります:- 疲労感
- 息切れ
- めまい
- 集中力の低下
鉄分の種類と吸収率
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。- ヘム鉄:動物性食品に含まれ、吸収率が高い(約15~35%)
- 非ヘム鉄:植物性食品に含まれ、吸収率が低い(約2~20%)
鉄分を多く含む食品
以下の食品は鉄分を豊富に含んでいます:- レバー(豚・鶏)
- 赤身の肉(牛・豚)
- 魚介類(カツオ、マグロ、アサリ)
- 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜)
- 豆類(大豆、レンズ豆)
鉄分サプリメントの活用
食事だけで必要な鉄分を摂取することが難しい場合、サプリメントの利用が有効です。特に、ヘム鉄を含むサプリメントは吸収率が高く、妊娠中の女性に適しています。サプリメント選択のポイント
- 医師や栄養士に相談して適切な製品を選ぶ
- 過剰摂取を避けるため、推奨される用量を守る
- 他の栄養素(葉酸、ビタミンB12)も含まれている製品を選ぶ